2025.07.02
「毎年110万円まで非課税」は本当に安全? 定期贈与のリスクとトラブルを防ぐ方法
「子どもが大学に進学するから、学費の足しにしてほしい」
そんな思いから、毎年一定額を子どもに贈与している方は少なくありません。
年間110万円までなら贈与税はかからない――そう考えて安心している方も多いでしょう。しかし、たとえ110万円以下でも贈与税が発生するケースがあります。その原因が「定期贈与」です。
本記事では、意外と見落とされがちな「定期贈与」のリスクと、トラブルを避けるためのポイントを解説します。
毎年110万円以下でも贈与税が発生するケース
Aさん(50歳・会社員)は、大学生の息子に毎年110万円を贈与していました。ところが税務署から、過去5年分の贈与が「定期贈与」にあたると指摘されます。
Aさんは基礎控除内だから問題ないと考え、毎年の贈与契約書を作成していませんでした。その結果、「当初から数年にわたり贈与する合意があった」と判断され、5年分をまとめた贈与とみなされたのです。
本来は非課税と思っていた550万円に対し、贈与税に加え無申告加算税・延滞税が課され、約100万円の負担が生じました。善意の行動が思わぬ結果につながった事例です。
「定期贈与」とみなされるポイントは?
税務署が重視するのは、毎年その都度「贈与の意思と合意」があったかどうか。客観的な証拠がないまま定額の贈与を続けると、最初に将来分をまとめて約束したと判断されるリスクがあります。
特に注意すべきなのは、
1.贈与契約書などの記録がない
2.実態として定期性がある
場合です。定期贈与とみなされると、基礎控除110万円は1年分しか使えないため、期間が長いほど税負担は大きくなります。
「定期贈与」のリスクを回避する3つの対策
1.毎年、贈与契約書を作成する
贈与者・受贈者双方が署名・押印した契約書を毎年交わすことが重要です。氏名、金額、贈与日、方法などを明記し、その都度の合意を残します。
2.金額やタイミングを変える
毎年同額・同時期の振込は「定期性」を疑われやすくなります。変化を持たせることで、あらかじめ決めた贈与ではないことを示しやすくなります。
3.記録が残る方法で行う
口座振込など、資金移動の履歴が明確に残る方法を選びましょう。契約書通りの贈与である証明になります。
子どもに残すのは「お金」だけではない
子どもへの贈与は、親の想いを形にする行為です。だからこそ、「非課税枠内だから大丈夫」という思い込みでトラブルを招くのは避けたいところです。
大切なのは、想いを正しい形で届けること。そのためには税務上の形式やルールにも目を向ける必要があります。不安があれば専門家に相談するのも一つの方法です。
「お金を渡す」だけでなく、「安心も一緒に手渡す」。
そのための準備を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
詳細はウェルビーイングマネーコーチに掲載されています。是非ご覧ください。
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