2025.06.27
資産形成を目指す人こそ“お金を使う”べき理由

資産形成と聞くと「節約」や「貯金」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もちろん無駄遣いを避けることは大切ですが、「お金を使うこと」に対して必要以上に罪悪感を抱いてしまっている方も少なくないように感じます。
しかし、特にこれから資産形成を目指す方にとっては、「お金を使うこと」が未来の資産を築くために必要不可欠な行動であることも事実です。
今回は、「資産形成を目指すなら“お金を使う”べき」という一見矛盾したテーマについて、その具体的な理由を解説します。
戦略的な投資が資産形成の鍵
資産形成に成功している方は、「お金を貯める」こと以上に「お金を使う」ことに意識を向けている方が多いと感じています。
実際、現金をただ銀行に預けておくだけでは、インフレにより資産の実質的な価値は目減りしていきます。
現時点で銀行の普通預金金利は年1%に満たない水準ですが、2024年3月から2025年3月にかけて消費者物価指数は3.6%上昇しました。
この状況では、預金の利息では物価上昇に追いつかず、結果的に「今まで買えたものが買えなくなる=資産の実質的な減少」という状況が生まれます。
こうした背景からも、単に節約や貯蓄に励むだけでなく、将来的に価値を生む「戦略的な支出」が必要になるのです。
それでは、「お金を使う」とはどういうことでしょうか?
「お金を使う」と聞いて「消費」あるいは「浪費」という言葉を思い浮かべる人も多いかと思いますが、「投資」という言葉が鍵になります。
この3つの言葉を整理すると、以下のようになります。
- 「消費」:生活に必要な支出
- 「浪費」:無計画で満足度の低い支出
- 「投資」:将来の価値・収入・満足度を高める支出
資産形成を目指すには、「浪費」を避けて「投資」を戦略的に行うことが重要です。
「投資」の代表格は金融投資ですが、今回は金融投資以外の「投資」を2つご紹介したいと思います。
①自己投資
専門性を身につけることやスキルアップは将来の収入増加に直結します。
今回は実際に筆者が行なった自己投資のうち、収入に繋がった一例をご紹介したいと思います。
筆者は新卒で入社した会社において、売上・取引先との受発注管理や工場の在庫管理などのお金に関わる多くの業務を経験しました。
こうした業務を行う中で、当時の上司からいただいた「お金のセンスがあるよ」という言葉をきっかけとして、お金に強い人になろうと決心したことを今でも覚えています。
そこで業務との親和性も高そうな簿記の資格を取得したのですが、簿記の勉強を通してお金の動きを学ぶことで、日々の業務によりやりがいを感じることができるようになったと記憶しています。
そしてこの経験は、コンサルティング会社への転職後もバイオベンチャーの運営や資金調達という場面で非常に役に立ちました。
その延長線上に今のFPとしての仕事があることを考えると、筆者の人生にとっては非常に良い投資だったと評価できると思います。
ただし、将来を見据えた「投資」とするためには、 “戦略的”に投資先を選択することも重要です。
大切なことは、得た資格やスキルをその後の人生に活かすことだと筆者は考えます。
②時間を買う
例えば、医師等の士業や経営者など収入は多いが同時に時間もない人も多いと思います。
自己投資したくても時間がないと感じる人もいるのではないでしょうか。
しかし、成功している人は時間を作り出すのも上手いと筆者は感じています。
時間を作り出す手段の一つが時間を買うということです。
例えば、夫婦共働きで平日はなかなか家事に時間を割くことができない。
せっかくの休日は溜まりに溜まった家事をこなすだけで疲弊してしまう。
そんな方がもしいたのなら、家事代行の活用も一つの選択肢となり得るのではないでしょうか。
家事代行の一般的な費用は、月4回利用する場合で月額2~3万円程度です。
この費用がどの程度負担になるかはそれぞれの家庭によるところはありますが、少なくとも、高所得世帯にとって無理な負担ではないはずです。
こうして生み出した時間を“戦略的”に自己投資に充てることで、将来の収入増加に繋げることができれば、これも立派な投資と言えます。
このように時間を買い、その時間が更に大きなお金を生み出すというサイクルを回すことによって「投資」の効率が高まり、より大きな資産を構築することに繋がるはずです。
節約に意識が向き過ぎていると、こうした発想もなかなか出てこないのではないでしょうか。
お金がお金を産む仕組み作りが重要
今回は金融投資以外の2つの「投資」についてご紹介しましたが、共通しているのは“戦略的”に行うことです。
そして、使ったお金が将来的により大きなお金を産むことも重要なポイントです。
大切なのは節約することではなく、お金がお金を産む仕組みを戦略的に作り上げていくことです。
この攻めの姿勢は、節約ばかり意識していてはなかなか持つことはできません。
資産形成を目指すなら攻めの姿勢で戦略的に“お金を使う”ことで、将来の自分への投資を意識しましょう!