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お金の「常識」を疑う〜独立系FPという選択が、医師の人生設計を変える理由〜(第二回)

第二回|アメリカでFPが「信頼される専門職」になった理由・・・フィデューシャリー・デューティーという概念

第一回は、日本における「無料FP相談」を成立させているコミッション型の収益構造を整理しました。独立系FPとして有料相談を実施している立場から言うと、この構造の存在を知っているかどうかで、金融サービスとの向き合い方は大きく変わると感じています。

第一回をご覧になっていない方は、第一回をぜひご一読ください。

第一回|なぜ日本では独立系FPの有料相談がまだ一般的ではないのか

では、有料で相談を受けるFPには、そもそもどのような価値があるのか。その根拠となる概念を、今回はアメリカの事例から紐解いていこうと思います。

フィデューシャリー・デューティーとは何か

アメリカにおいて、独立系FPや資産アドバイザーが確固たる社会的地位を築き、富裕層から中産階級まで幅広く有料で利用されている背景には、ある核心的な概念が根付いています。それが「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary Duty)」です。

この言葉は一般に「受託者責任」と訳され、受益者との信認関係において受託者が全うすべき義務を指します。金融の文脈においては、「他者の資産を預かり、その行方を左右する業務に携わる者は、何よりも顧客の利益を最大化するために行動しなければならない」という、徹底した顧客本位の姿勢を意味しています。

つまり、専門家として「自身の利益よりも顧客の利益を優先する義務」を法的に負う、という極めて厳格な考え方です。これは単なる「利益相反の禁止」に留まらず、顧客の最善を追求し続けるという、より広範かつ能動的な責任として機能しています。

独立系FPとして活動する上で、この概念こそが仕事の根幹であると考えています。金融サービスにはさまざまな形がありますが、重要なのは「どのような収益構造のもとで意思決定がなされるか」です。

我々は特定の金融商品を販売するのではなく、相談そのものに対して対価をいただく立場を選択しています。だからこそ、「顧客の利益を最優先に考える」という考え方を、理念ではなく実務として一貫して反映できる構造にあります。

「助言」という独立した専門サービスの確立

アメリカでは、Investment Advisers Act of 1940により、「助言」という行為が独立した専門サービスとして制度化されています。

この枠組みにおいて、いわゆるRIA(Registered Investment Adviser)は、顧客の最善の利益を優先するフィデューシャリー・デューティーを負うことが義務付けられており、「助言に対して報酬を支払う」という文化の土台が制度として確立されています。

商品を販売する人は証券の売買を行う主体であり、一般的にコミッションベースで報酬を得ます。一方RIAは、証券を販売するのではなく、投資判断に関する情報提供や意思決定のサポートを行い、フィーを中心に収益を得ています。

この「売る機能」と「意思決定を支える機能」の分離が、有料FP相談という市場を生み出す土台となっています。

制度が文化をつくり、文化が市場を育てる

フィデューシャリー・デューティーは、信託法理を起源とし、専門職が顧客の利益を最優先することを法的に求める考え方として発展してきました。アメリカではこれが制度として明確に位置付けられ、長い時間をかけて信頼が蓄積されてきました。

一方、日本ではこの概念が本格的に議論され始めたのは1990年代末以降であり、行政として明確に言及されたのは2014年です。両国の間には、70年以上の時間的な差が存在しています。

「有料FPに相談する文化」は、自然発生的に生まれたものではありません。アメリカにおいては、法律が「助言を専門的なサービスとして位置付ける」枠組みを作り、その枠組みの中で専門家が育成され、結果として意思決定を支えるサービスが発展してきたのです。

制度が文化を作り、文化が市場を育てる。日本でFPへの有料相談がまだ一般的でない背景には、この「制度的な出発点の差」が深く関係しているといえます。

こうした背景の違いもあり、日本では「専門的な判断や意思決定の支援に対して対価を支払う」という考え方は、まだ一般的とはいえません。その中で我々は、個別の金融商品ではなく、人生全体を見据えた資産設計や意思決定の支援に価値を置き、その対価をいただく形でサービスを提供しています。

制度を前提とするのではなく、実務を通じて信頼を積み上げていくこと。それ自体が、この市場を形作っていくプロセスだと捉えています。

次回は、日米でこれほどの差が生まれた歴史的・社会的背景を詳しく掘り下げます。

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