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お金の「常識」を疑う〜独立系FPという選択が、医師の人生設計を変える理由〜(第三回)

第三回|なぜ日本とアメリカでこれほど差が生まれたのか・・・歴史と制度が作った「お金との距離感」

第二回は、アメリカがInvestment Advisers Act of 1940により「助言」という行為を独立した専門サービスとして制度化したことで、独立系FP市場の土台が作られたことをご紹介しました。

その結果、アメリカでは「助言に対して対価を支払う」という考え方が広く浸透し、FPは有料で相談する専門職として社会に位置付けられています。

一方日本では、同様の形が一般的とはいえません。

では、なぜこのような違いが生まれたのか。「日本人はお金の話を好まない」という文化論で片付けるのは表面的な議論にとどまります。その背景には、戦後の金融行政が作り上げた構造的な要因があるのです。

第一回及び第二回をご覧になっていない方は、ぜひご一読いただいてから、本記事をご覧ください。

第一回|なぜ日本では独立系FPの有料相談がまだ一般的ではないのか

第二回|アメリカでFPが「信頼される専門職」になった理由・・・フィデューシャリー・デューティーという概念

「護送船団方式」が生んだ金融と消費者の関係

戦後の日本における金融行政の特徴の一つが「護送船団方式」です。

護送船団方式とは、金融システムの安定を重視し、銀行の倒産を防ぐことを優先する中で、競争が過度に激化しないよう各種規制が行われてきた行政のあり方を指します。

この体制のもとでは、金融機関は横並びのサービスを提供する傾向が強まり、消費者も「どこも同じ」という前提で金融機関と接してきました。結果として、差別化のために「助言の質」を競う必要性は高まらず、消費者側も「助言に価値がある」という体験を得にくい環境が続いてきたと考えられます。

バブル崩壊後、金融機関の破綻や制度改革を経て、こうした枠組みは徐々に見直されていきましたが、その時点ですでに「金融機関のサービスは無料で提供されるもの」という認識が広く形成されていました。制度が変わっても、長年の体験として積み重なった認識は、すぐには変わらないものです。

家計の資産構成という背景

もう一つ見逃せない要素が、日本における家計の資産構成です。

金融庁の資料によれば、日本の家計金融資産に占める現金・預貯金の割合は長年にわたって50%超で推移しており、直近この比率が低下傾向にはあるものの、株式や投資信託といったリスク資産の比率はアメリカと比較して低い水準にとどまっています。

この違いは単に「投資をしているかどうか」にとどまりません。資産の大半が預貯金である環境では、「どのように資産を配分するか」「どのように将来に備えるか」といった意思決定そのものを外部に相談する機会が生まれにくい構造になります。

結果として、資産の置き場所を考えるという行為が生活の中で意識されにくく、専門家に意思決定を相談する『機会』そのものが限定的であったと言えます。

一方アメリカでは、401(k)(確定拠出型年金)の普及により、一般の会社員であっても資産運用だけでなく、老後資金やライフプラン全体を自ら設計する必要に迫られてきました。

「どのように運用するか」に加え、「どのように人生設計を行うか」という問いが日常化することで、専門家に意思決定の支援を求めるニーズが構造的に生まれてきたといえます。

日本でも確定拠出年金(DC)は導入されていますが、その普及の度合いや活用状況には差があり、意思決定を外部に委ねる文化が十分に根付いているとは、まだいえないのではないでしょうか。

制度・歴史・文化の三重構造

整理すると、日本でFPへの有料相談がまだ一般的でない背景には、以下の三層が重なっていると考えられます。

第1層は制度です。アメリカが1940年に「助言する人」を独立した専門サービスとして制度化したのに対し、日本では長く「売る機能」と「意思決定を支える機能」が明確に分かれてこなかった側面があります。

第2層は歴史です。護送船団方式による横並び行政が、金融機関同士の競争を抑制し、「より良い助言を選ぶ」という消費者行動を育てる土壌を作りにくい環境にありました。

第3層は資産構成です。預貯金中心の家計が長く続いたことで、「自分でお金の意思決定をする」という習慣の普及が遅れてしまいました。

この三層が重なった結果として、「FP相談は無料が当たり前」という認識が形成されてきたと、このように考えています。

これは個人の問題ではなく、構造の問題ということになります。

変化の兆しと、その意味

ただし、状況は確実に変化しつつあります。2024年からの新NISA制度の普及、iDeCoの加入者拡大、そして2024年11月に法定化された「顧客の最善の利益を勘案した誠実公正義務」など、制度面では着実に動きが生まれています。

また、日銀が2025年12月17日に公表した資金循環統計によると、2025年9月には家計の現預金比率が18年ぶりに50%を下回りました。こうした変化は、日本においても資産運用や将来設計に対する関心が高まりつつあることを示しています。

日本における金融サービスのあり方は、いま大きな転換点を迎えています。

これまで一般的ではなかった「意思決定の支援に対して対価を支払う」という考え方も、徐々に受け入れられる土壌が整いつつあります。

その中で我々は、個別の金融商品ではなく、人生全体を見据えた資産設計や意思決定の支援に価値を置き、その対価をいただく形でサービスを提供しています。

制度の後押しを待つのではなく、情報発信と相談実績の積み重ねを通じて、「人生全体の意思決定を支えるサービスには対価を払う価値がある」という認識を一人ひとりに届けていくこと。それ自体が、この市場を形作っていくプロセスであると捉えています。

次回は、税理士・弁護士という「有料が当然」の専門職とFPを比較することで、独立系FPが提供する価値の本質を整理します。

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